小児訪問看護師が向き合う「心の難しさ」【ソイナースが語るリアルな声】

医療的ケア児の命と向き合う小児訪問看護の現場は、正直「難しい」「不安」と感じることもあります。ただしその難しさは看護の技術というよりも、「マインド」に関する課題が多いようです。

そんな現場のリアルを伝えるべく、ソイナースの小児訪問看護師の「声」を集めました。

医療的ケア児の看護に日々取り組む看護師が「心」で感じる小児看護の難しさと、その解決策について詳しくご紹介します。

 

医療的ケア児の「想い」を感じる難しさ

今回のソイナースの看護師に対する調査で最も多かった声は、「お子様との意思疎通」に関する不安。病気によって円滑なコミュニケーションが取りにくいお子様の感情を読み取る難しさを実感する声が多数ありました。

 

看護師Oさん|伝えたいことを汲み取る力

想いを言葉にできないお子様が多いので、私がその子の伝えたいことを汲み取れているのかは常に不安です。お子様に関心をもち続け、保護者様に確認をとり、経験を積み重ねていくことが重要だと実感しています。

 

看護師Tさん|お子様にとっての不快とは

ケアを受けるお子様たちは、「嫌だ」「痛い」などの不快なことをなかなか言葉で伝えることが難しいため、行っているケアがお子様にとって不安なく受けられているのか心配です。

 

看護師Hさん|お子様が一息つけるケアをするために

短い時間でのケアとなるため、ルーティン化してしまい、お子様の気持ちを置き去りにしていないか不安に感じることがあります。例えば送迎バスからの訪問となった際に、帰ってすぐ入浴、排痰ケアやストレッチと、次々とケアを行う流れになると、お子様が一息つけているのか不満はないのか気になっています。

 

医療的ケア児の命と向き合う「責任」の難しさ

いくら看護の経験が豊富であっても、患者であるお子様を「看護する責任」に難しさを感じる声も少なくはありません。

 

看護師Uさん|ご家族を不安にさせない看護

お子様1人ひとりによってケア内容が異なる一方、実際にケアをする看護師は一人だけなのでその責任は重大だと感じています。特にお母様を不安にさせない看護技術ができているかを意識しています。

 

看護師Aさん|看護の知識以上の学びが必要

ケアを受けるお子様1人ひとりに合わせて、どのような成長発達支援が適切なのかを考えるには、看護の知識だけでは難しいと感じています。また日々進化していく医療機器に対する知識や学びも大切だと実感しています。

 

医療的ケア児のご家族の「想い」を担う難しさ

親御さんが大事にしている子育てへのこだわりを理解し、それを看護に取り入れることに難しさを感じるという声もありました。病気や障がいと向き合うご家族への言葉選びの難しさに直面する声にも注目です。

 

看護師Eさん|子育てのこだわりへの理解

今までお子様を育ててきたご家族の、「子育てのこだわり」を理解してケアにあたることは大切だと思います。そして医療的な目線と保護者の目線を両立した関わり方を考える難しさに直面することもあります。

 

看護師Mさん|ご家族の時間を尊重した声がけ

私が訪問させていただいてるご家庭では、とても優しくお子様のことを教えてくださります。ただ、本来看護師にケアを任せている時間は、ご家族様の休息に当てたいだろうな…と思うと、どこまで確認や声かけをしていいのかわからない時があります。

 

看護師Yさん|ご家族の状況に合った言葉選び

お子様の病気や障がいを受け入れきれないご家族もいるので、言葉かけや接し方に難しさを感じることがあります。また病気が進行していくと、お子様のケアが難しくなるのと同時に、保護者の方のケアも難しくなると感じています。

 

【医療的ケア児の看護】難しさや不安を残さないためにできること

このように小児訪問看護の現場では、あらゆる場面で「難しさ」に直面することがあります。しかし、その難しさや不安は決して看護の現場に持ち込んだり、残したりすることはありません。

では具体的にソイナースの看護師達は、どのようにしてその難しさや不安を解消しているのでしょうか?「難しい」を乗り越えて、理想的な看護を実現する看護師のエピソードをご覧ください。

 

看護師Uさん|余裕のある看護につながる効率化

感情を言葉にするのが難しいお子様とのコミュニケーションを取る時間を確保するため、物品の準備等はできるだけ効率的に素早くできるよう時短を心がけています。余裕を持ってケアをすることで、患者様の病状や状況を見逃すことなく、落ち着いた看護ができています。

 

看護師Mさん|記録で振り返る役割

訪問看護は医療ケアの提供だけに終わらず、お子様それぞれの個性をしっかり把握して快適な日常が送れるようにサポートする必要があります。だからこそ訪問時は、きちんと役割を遂行できたのか不安が残らないよう、看護記録を記載しながら振り返りをしています。

 

看護師Aさん|患者様とご家族への理解

ご家族の中には、初めと最後しかお会いしないケースもあります。そういったご家族の事情を理解することも、大切だと考えています。

またお子さんへの心配や不安が大きすぎるあまりに、看護師に対する要望が強くなっていると感じることもあります。この点の感情もお子様の病状や発達の遅れをしっかり理解することで、ご家族やご本人の大変な気持ちに寄り添えるよう意識しています。

 

医療的ケア児の看護は難しくない。でも心を繋ぐことは難しい。

ソイナースにNICUやPICU、小児科実績のある看護師も多数在籍しています。しかしすべての看護師が、はじめから小児看護に熟知しているわけではありません。なかには成人に対する看護の実績を経て、ソイナースではじめて小児看護に触れる人もいます。

ただし看護の現場には、看護や医療の知識だけでは乗り越えられない「心」の難しさがあります。ソイナースの看護師はそれぞれ、心の難しさを乗り越える心がけをしていますが、決して万能ではありません。看護師1人で乗り越えられないことは、ソイナース本部に相談し、一緒に解決策を考えています。

 

▼ソイナースの研修については、こちらの記事もご参照ください。

医療的ケア児を見守る看護師必見!~研修の必要性と活躍の場とは~ 

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