医療的ケア児を支える看護師の役割とは?医療的ケアの一日レポート

あなたは医療的ケア児とその家族を支える看護師が求められている、現代の状況を知っていますか?医療的ケアを必要とするお子様とそのご家族が、健全で豊かな日常生活を送るためには、看護師の存在が欠かせません。

そこで今回は、医療的ケア児とそのご家族と一緒に、お子様の発達と成長を見守る看護師ができることを詳しく解説します。小児訪問看護サービスを提供するソイナースだからこそ伝えられる、医療的ケアの一日レポートも紹介しますので、小児訪問看護師を目指す方は必見です!

 

看護を必要とする医療的ケア児=全国約2万人

厚生労働省の調べ(※1)によると、日本全国で在宅する医療的ケア児(0〜19歳)の推計人数は約2万人。それも2005年〜2021年までの16年間で102%も増加傾向にあります。

2005年 9,987名
2021年 20,180名

増加の理由として考えられるのは、新生児医療の発展。つまり医療技術が発達したことで、超低出生体重児(1,000グラム未満で生まれる子ども)や先天的な疾病等のある子どもたちの命が救える割合が高まったのです。これはとても喜ばしいことではありますが、社会の体制が医学の進歩に追い付いていないという課題でもあります。

だからこそ在宅医療で医療的ケア児とそのご家族を支える、看護師のさらなる増加が求められているのです。

 

NICUを卒業した医療的ケア児の生活と看護師にできること

では実際に、NICUを卒業し在宅医療の生活となる医療的ケア児とそのご家族のために、看護師に何ができるのでしょうか。
3つの時期に分けて、医療的ケア児の日常と看護の様子を具体的に解説します。

 

NICUから在宅医療に移行したばかりの頃

NICUでの入院生活を経て、病院から自宅に戻ってくるお子様との生活を始めるご家族の方は、あらゆる面で不安を感じていると思います。

「何かあった時に対応できるのか」
「子どもも保護者もちゃんと寝れるのか」
「安全に過ごせる環境を整えられるのか」

こういった不安に寄り添うのが、この時期における小児訪問看護師の役目です。

病院での介護に加えて、在宅では看護・保育・療育とやるべきことが一気に増えるこの時期。お子様とご家族が安心して日常生活を送るため、訪問看護師が在宅医療の体制を整えていきます。
また円滑で安全な日常生活を過ごすためにも、看護師や病院や保護者としっかり連携することが重要です。

 

看護師が行う主な支援

  • 必要な医療的ケアの実施、指導
  • 在宅で共に過ごす保護者様への身体的・精神的サポート
  • 日常生活のサポート
  • 健康管理

▼医療的ケア児の訪問看護になるための勉強について、もっと詳しく
「医療的ケア児を見守る看護師必見! ~研修の必要性と活躍の場とは~」

 

乳幼児の頃(0~6歳)

在宅医療の体制が整ったら、今度はお子様の療育体制や保護者の方のお仕事、日常生活について考える時期です。

0〜6歳までのお子様は、療育施設や地域の保育園・幼稚園に通うことを検討されます。保育園や幼稚園の受け入れ体制について不安に感じる方も多いので、それらのステップに移行する前のご相談に寄り添うことも看護師の大事な役目と言えるでしょう。

また医療的ケア児支援法では、医療的ケア児を受け入れる保育園や幼稚園に看護師を配置することが定められています。つまり、医療的ケアを必要とするお子様が通う保育園でも看護師を必要としているのです。

保育園や幼稚園の職員たちがその専門性を活かした関わりを円滑に行うためにも、看護師がそれらとしっかり連携して子どもの成長発達を最大限に促せる関わりをする必要があります。

そのためにも保育園や幼稚園の職員はもちろん、保護者や主治医との十分な連携が欠かせません。

▼医療的ケア児の保育園受け入れについて、もっと詳しく
「医療的ケア児の保育園受け入れ体制の現状と課題」

 

看護師が行う主な支援

  • 必要時医療的ケアを通じた生活リズムの形成
  • 保育園・幼稚園で安全に過ごせるための配慮、見守り
  • 主治医や行政等関連機関と連携しサポート体制の構築

 

学校に通う頃(6~19歳)

日本は義務教育のため保育園や幼稚園、療育施設を卒業する6歳になると、特別支援学校や地域の学校に通うことを考える必要があります。

ここでも教師は健やかな成長のための教育を、看護師は発育と発達に伴う健康管理と医療的ケアをと、それぞれの専門知識と技術が求められます。

 

看護師が行う主な支援

  • 必要時医療的ケアを通じた生活リズムの形成
  • 医療的ケア児の見守り
  • ケアの必要性をはじめ、自分の意思や希望を伝える力の育成サポート
  • 主治医や行政等関連機関と連携によるサポート体制の構築

このように看護師は、医療的ケア児の成長と発達のために、あらゆるシーンでその活躍が期待されているのです。

 

ソイナースの看護師と医療的ケア児の関わりについて

では次にソイナースの看護師が実際に向き合っている医療的ケア児のお子様について、具体的な事例をご紹介します。

 

ソイナースの看護師と医療的ケア児の1日【Aちゃんの場合】

Aちゃん(1歳)
【疾患名/主な症状】

  • 重度呼吸障害
  • 気管軟化症

【必要な医療的ケア】

  • 人工呼吸器
  • 気管切開
  • 経鼻胃管

Aちゃんの医療的ケアを行う訪問看護師の一日
【訪問看護時間の目安】1〜2時間

【看護内容】

  • 全身状態の確認
  • 入浴介助
  • 経鼻胃管より注入介助

Aちゃんは抱っこが大好き!看護師は優しい抱っこの中で、全身の健康状態をチェックしています。

また看護師の介助でアンパンマンの車に乗って楽しむ姿も、看護師やご家族が笑顔になる瞬間。体幹はしっかりしてきましたが、床まで足が届かず力が入っていないので支えは必須です。

 

担当看護師が感じるやりがい

日々成長が著しく、訪問するたびに新たな表情を見せてくれます!できることが増える様子をご家族と一緒に見守れることが私の喜びとなっています。

 

看護師と医療的ケア児の1日【Bちゃんの場合】

Bちゃん(10歳)
【疾患名/主な症状】

  • 水頭症
  • 低酸素脳症

【必要な医療的ケア】

  • 吸引
  • 胃ろう

Bちゃんの医療的ケアを行う訪問看護師の一日
【訪問看護時間の目安】2時間

【看護内容】

  • 胃ろうによる薬とペースト食の注入
  • 入浴介助
  • 浣腸
  • 吸入
  • 排痰の吸引やケア

Bちゃんは瞬きや表情で自分の気持ちを教えてくれるので、コミュニケーションをしっかり取ることができます。10歳という年齢もあって、看護師と二人三脚の医療的ケアにも協力的な印象です。

 

担当看護師が感じるやりがい

ご家族が学校行事や普段の様子を話してくださるほど、信頼関係を築けていることはとても大きなやりがいです。Bちゃんのご自宅では見られない様子も知ることができて、成長の兆しを感じた時はとても感動します。

 

医療的ケア児と家族に寄り添う小児看護師を募集中

全国の医療的ケア児が2万人と言われる現代。お子様とそのご家族の日常を支える看護師がとても必要とされています。

健康ケアはもちろん、成長や発達の喜び、悩みに寄り添うなど、医療的ケア児の日常において、看護師ができることはたくさん。

小児訪問看護サービスを行うソイナースでは、一緒にお子様を見守ってくださる小児看護師の方を募集しています!

医療的ケア児が増加する現代日本で、健やかな日常生活と成長を望むお子様とご家族の大事なパートナーになりませんか?

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※1 『医療的ケア児支援センター等の状況について(令和4年度 医療的ケア児の地域支援体制構築に係る担当者合同会議)』|厚生労働省

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