[全身の健康につながる]医療的ケア児の歯科診療の必要性

医療的ケア児が増加する昨今、日常の治療、看護と合わせて重要視されているのが、「歯科診療」。健常者であってもつい後回しにしてしまいがちな歯科診療ですが、病気と一緒に人生を歩む医療的ケア児だからこそその重要性は大きいものです。
そこで今回は、医療的ケア児の歯科診療について、詳しくお話します。

医療的ケア児に歯科受診が重要な理由

病気と一緒に日々を過ごす医療的ケア児、そしてそのご家族にとって、「毎日向き合う病気」に比べて、歯科の優先度は低くなりがちです。なかには日々の介護や入退院の付き添いなどが忙しく、ご家族でさえも歯科治療を後回しにしている…なんてケースも多いのではないでしょうか?

しかしお口の中の衛生状態を清潔に保たないことで、生活や健康に影響する可能性もあります。そこで歯科受診が必要な3つの理由を、確認していきましょう。

口腔衛生管理

口の中の状態は、日常生活を快適に過ごす上でとても重要なポイントです。

  • 虫歯が痛い
  • 歯の色や形が気になる
  • 口の中が臭って不快 など

だからこそ、正しいお口の中の衛生管理(口腔衛生管理)が欠かせません!

例えば日々の歯みがきは、正しい方法でできていますか?
お口が自由に動かしにくい病状の医療的ケア児でも、どうやったらキレイに歯みがきができるか…歯科医や衛生士の専門的指導を受けることをオススメします。

お口の中や歯の健康を予防、改善するためにも、専門的知識を持って管理方法を考えていきましょう。

口腔機能の改善

口腔機能とは、口の重要な役割を指します。

  • 食べる
  • 話す
  • 笑う
  • 呼吸する など

これらの役割が果たされなければ、生きる上で不便が生じるだけでなく、健康にも大きく影響します。一方、医療的ケアを必要とするお子様の中には、症状としてこれらの機能が衰えている場合もあることでしょう。

つまり毎日を快適に生きるためには、口腔機能が発揮される状態になるよう、定期的な検診と予防、治療が必要なのです。

お口の中以外の健康被害

虫歯や歯周病といった口の中の問題だけでなく、口の中の雑菌によって炎症を起こしたり、肺炎に発展したりすることもあります。

だからこそ、どのような人にとっても、お口の中の衛生管理はとても大切に。お口の中や歯の健康が、全身の健康につながるといっても過言ではありません。

その点、病気を抱えている医療的ケア児だからこそ、病状悪化や新たな病気が発症しないためにも、定期的な歯科受診が重要なのです。

医療的ケア児の歯科治療が難しいと言われる理由

歯科診療が重要だという事実の一方、医療的ケア児の場合、歯科治療を行うのが難しいとも言われています。なぜなら、医療的ケア児を受け入れる設備や体制が整っている歯科医院ばかりだとは限らないからです。

医療的ケアを必要とするお子様の中には、歯科治療の必要な動作を理解できない、もしくは病気によってそれらの動作が難しい場合もあるでしょう。

  • 横になってじっとしている
  • 口を大きくあける
  • 口をゆすぐ
  • 痛かったら手を挙げて知らせる
  • 咬合紙やレントゲンフィルムを噛む など

こういった課題を解決するための知識、人員、設備が充分に整ってないことから、医療的ケア児の診療に自信を持てない歯科医院も多いのです。そこで重要となるのが、普段からお子様とのコミュニケーションを取っているご家族のサポート。診療する歯科医師、衛生士と協力しながら、継続的な衛生管理ができるよう取り組んでいきましょう。

医療的ケア児が活用したい【訪問歯科診療】

訪問歯科診療とは、在宅での療養や介護を必要とした人が自宅や生活する施設内で歯科診療が受けられる診療スタイルのことを言います。従来では、要介護の高齢者に向けた訪問歯科診療体制が広く広がっていました。
しかし2018年の診療報酬改定で、在宅で療養する通院が難しい18歳未満のお子様を対象に「小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料」が設けられたのです。

これによって口腔機能や口腔疾患を予防するための訪問歯科診療が保険適応となりました。こういった背景によって、医療的ケア児が訪問診療で歯科を受診する機会が徐々に増えてきています。

医療的ケア児の歯科診療の現状

厚生労働省の発表によると、計192施設を対象に調査を行った結果、医療的ケア児に対する歯科診療を行っている施設は105施設。(引用:厚生労働省『小児に対する歯科訪問診療について』※1)
この結果からも、多くの歯科医院で積極的に医療的ケア児への歯科診療を行っていることがわかります。

しかしその一方、医療的ケア児向けの訪問歯科診療を行っている歯科はまだまだ少ないという結果もわかりました。

そのため、在宅での歯科訪問診療を希望する場合には、訪問歯科診療を行う地域の施設を探すステップは必要になりそうです。地域のケアマネジャーや担当する訪問看護師、かかりつけ医に相談しながら、歯科診療を担当してくれる歯科医院、施設を探しましょう。

医療的ケア児のお口の中も健康へ

虫歯や歯周病などの歯科治療となると、一定期間で何度か受診する必要性が出てきます。この点を考えると、定期的な歯科受診でお口の中を健康に保ち、予防することはとても大切ですよね。

そして何より「痛い」「辛い」といった意志を伝えるのが難しい症状の医療的ケア児の場合、口の中の異変を主張した際にはすでに治療が必要な場合も多いにあるでしょう。すると、治療も本格的となり、さらに辛い想いをすることも…。

普段から治療を頑張っているお子様に新たな歯科治療を頑張ってもらうのではなく、定期的な受診と正しい衛生管理で負担を軽減しませんか?

とはいえ、症状によっては思うように口腔ケアができなかったり、訪問歯科診療を行っているクリニックが近くになかったりすることもあるでしょう。

ソイナースではこういったご利用者様やご家族の健康のお悩みに寄り添い、解決に向けてサポートしております。お子様の健康のためにご家族と一緒に寄り添う小児在宅看護サービス・ソイナースについてもっと知りたい方は、ぜひお気軽にお問合せください。

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※1 『小児に対する歯科訪問診療について|厚生労働省』

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