医療的ケア児の家族負担と受けられる支援について

「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が2021年に成立し、国や自治体の支援は「努力義務」から「責務」になりました。
これにより医療的ケア児の家族に対する支援の充実が期待されていますが、ケアを担う人材不足など課題は多く、医療的ケア児を支える家族の負担は大幅に軽減されたとはいえません。

この記事では厚生労働省の調査をもとに、全国の医療的ケア児と共に生活する家族の現状や、負担に感じていることについてご紹介します。

医療的ケア児が受けられる支援についても解説していますので、医療的ケアが必要なお子様の育児でお困りの方、負担を抱えているご家族の方は、ぜひ参考にしてみてください。

医療的ケア児を抱える家族の負担は大きい

厚生労働省の「医療的ケア児者とその家族の生活実態調査」によると、20歳までの医療的ケア児がいる家庭のうち、0〜6歳の医療的ケア児の子育てをしている家庭は52.2%です。
0歳から5,6歳までは、医療的ケアを必要としない子供でも手がかかるといわれていますが、呼吸ケアや経管栄養などの医療的ケアを必要とする子供の育児は、24時間体制でケアが必要な場合がほとんどです。
そのため、多くの母親や父親が睡眠不足や将来の不安など、体力的・精神的に悩みを抱え、負担を感じています。

さらに同調査では、40%以上の人が緊急一時預かりや移動支援・訪問レスパイトをもっと利用したいと答えているのに対し、78%の人が医療的ケアに対応可能な事業所が十分でないと回答しており、福祉サービスを利用したくても利用できていないのが現状です。

医療的ケア児を抱える家族の悩み

ここでは、医療的ケア児者とその家族の生活実態調査のアンケートより医療的ケア児を抱える家族から寄せられた悩みを紹介します。

母親の悩み

・保育園が見つからないので仕事をやめなければならない
・命の危険と隣り合わせで、目が離せない。慢性的な不眠でとてもきつい
・私しかできないことが多すぎて、息子のことを任せられない
・母子家庭なので私に何かあったらどうしたらいいのか不安
・書類の手続きや、医療機関(身の健康高管理)へ中々行く時間が取れない

医療的ケア児のケアや育児は母親がメインになっている場合が多く、仕事が続けられない・身体的疲労・育児を代わってくれる人がいないなどの悩みがあり、精神的・体力的にも母親の負担は大きいようです。

父親の悩み

・仕事が忙しく、思うように家事や医療的ケアの手伝いができていない
・妻のことを考えると自分も休むわけにいかないと感じる
・医療ケアをやっていないので妻の体調不良時や急用時にケアをすることが不安
・自分一人の収入しかないうえに入院、手術、付き添い費などがかかり家計を圧迫している
・父親が主で介護することにまだ偏見を感じる

父親の悩みとしては、仕事と育児を両立する難しさや、時間と精神的な余裕がなく積極的にケアに加われない葛藤があるようです。
医療費などが高額で経済的に不安を感じるものの、父親一人の収入に頼らざるを得ない家庭もあります。

きょうだいの悩み

・遊びに行きたいところがいっぱいあるけど、なかなかいけない
・いつも、ひとりぼっちか、後回しにされる
・両親が忙しくなかなか構ってもらえず、寂しい
・友達を家に呼べない
・大人になったら面倒をみないといけないかもという不安がある

医療的ケア児のきょうだいは、自分を後回しにされているように感じるなど「さみしさ」を抱えていることが多いようです。
医療的ケア児は、重度の障害や予測できない体調不良などもあるため、外出が困難な場合があり、きょうだいは我慢を強いられることも多々あります。

医療的ケア児の家族への支援について

2021年、医療的ケア児の健全な保育と家族の負担軽減や離職防止を目的として「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が交付され、行政による支援の整備が進められています。
下記は医療的ケア児の家族が利用できる制度の一例です。

子育てに関する支援 通所支援 ・児童発達支援事業

・医療型児童発達支援

・放課後児童クラブ

訪問支援 ・居宅訪問型保育事業

・訪問看護

・訪問診察

教育・自立に関する支援 ・小児慢性特定疾病児童等自立支援事業

・教育・就学相談

お金に関する支援 ・小児慢性特定疾病医療費

・難病医療費

・特別児童扶養手当

・障害児福祉手当

・障害者扶養共済制度

生活用品に関する支援 ・小児慢性特定疾病児童等日常生活用具給付事業

参考:医療的ケア児とその家族への支援制度について:厚生労働省
医療的ケアが必要な子供と家族が、安心して心地よく暮らすために:厚生労働省

各制度により実施団体や対象者は異なります。
詳しくは、お近くの市町村へお問合せください。
東京エリアの訪問看護や在宅支援、通学支援などに関して、当社でもご相談をお受けしております。
家族支援の制度についてもご案内しておりますので、お気軽に、お問い合わせください。

医療的ケア児の支援サービス「ソイナース」

ソイナースでは、医療的ケア児だけでなく、ご家族にも寄り添うサービスをご提供しています。
サービスを提供するのは、小児看護について専門的知識を持ち、さまざまな医療的ケア児に訪問看護サービスをご提供してきた経験豊富な看護師です。
また病気やケア方法など、医学的な相談だけでなく、育児のご相談から役所とのやりとりまで、ソイナースの看護師がご家族の負担を軽減します。
ご利用いただけるおもなサービスはこちらです。

・訪問看護(医療的ケア・日常生活のケア・ご家族へのケア・相談など)
・通園・通学支援
・保育園・学校への訪問看護師派遣
・在宅レスパイト
・コントラクトサービス(自費によるご利用)

医療的ケア児を抱えるご家族の方へ

医療的ケア児を抱えるご家族の負担は大きく、医療的ケア児に対する公的支援がまだ十分でないことは今後の課題だといえます。
医療的ケア児の子育ては「初めてのことばかりで不安」「相談できる人がいない」など、精神的に追い詰められるケースもあり、ご家族に対する精神的支援も必要です。
SoiNurse(ソイナース)では専門知識を持った看護師が、医療ケアが必要なお子様とご家族が安心して在宅生活を送れるよう、それぞれのご家庭に合わせたケアを継続的にサポートいたします。
SoiNurse(ソイナース)は、東京23区(東京23区外は要相談)に対応しております。
子育てや在宅生活でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

【参考文献】
医療的ケア児者とその家族の生活実態調査:厚生労働省
医療的ケア児とその家族への支援制度について:厚生労働省
医療的ケアが必要な子供と家族が、安心して心地よく暮らすために:厚生労働省
医療的ケア児支援法:全国医療的ケア児者支援協議会

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