【医療的ケア児】レスパイトケアの必要性について

近年の医療の発展に伴い増加傾向にあるのが「医療的ケア児」です。
医療的ケア児は、常時医療処置やケアが必要であり、ほとんどの場合家族が在宅で介護している現状があります。
厚生労働省の資料では、主介護者である家族から「負担を軽減するためには日中や宿泊を伴う預かり支援が必要」との返答が多かったとの調査結果もあります。
こうした一時的な預かり支援を可能にしているのが「レスパイトケア」です。
今回は医療的ケア児やその家族に対するレスパイトケアの必要性について解説します。

レスパイトケアとは?

レスパイトとは、「休息」という意味を持ちます。
医療的ケア児の介護は、長時間目を離すことは難しい場合がほとんどです。
安全で長期的な在宅介護のためには、主介護者である家族、特に母親の負担軽減が必要不可欠です。
レスパイトケアは、医療的ケア児だけでなくその家族を社会で支える「家族支援サービス」の一環になります。
また、吸引や経管栄養といった医療処置は、医療従事者あるいは家族以外の実施は行えないため、医療ケアが行える事業所のレスパイトケアを受ける必要があります。

【医療的ケア児】レスパイトケアの必要性

医療的ケア児のレスパイトケアが必要な背景として、「家族の精神的・身体的休息」「兄弟のイベントへの出席」「ケア児自身の自立」等があります。
1つずつ説明していきます。

家族の精神的・身体的休息

医療的ケア児は常時見守りが必要であることから、介護者は常に緊張状態のまま過ごしています。
負担ではないと感じていたとしても、無意識のうちに精神的、肉体的な疲労に繋がっていることも多いです。
緊張状態の持続やストレスは、集中力の低下や慢性疲労を引き起こすことから、大きな事故に繋がりかねません。
今後継続的に在宅介護を続けるためにも、定期的な休息をとっていく必要があります。

兄弟のイベントへの出席

医療的ケア児の介護を行っている家庭には、兄弟児が同居しているケースが多いです。
医療的ケア児の介護は常に続くものの、兄弟児のイベント時はケアが困難なことも多いですよね。
ケア児の介護のために、多かれ少なかれどこかで我慢している兄弟児。
そんな兄弟児のイベントには参加したいと考える親御さんがほとんどではないでしょうか。
ご家族の想いや兄弟児の心のケアのためにも、レスパイトケアは必要な制度と言えます。

ケア児自身の自立

レスパイトケア制度は、介護者のための使用が多くを占めますが、ケア児の自立をサポートする目的で使用されることもあります。
通園や通学など、家族から離れて過ごすための支援として、訪問看護では対応しきれない部分をレスパイトケアが担っています。
レスパイトケアを利用することで、介護者の心身の健康維持やケア児自身の生活の幅を広げることもできます。

【医療的ケア児】レスパイトケアのサービスについて


医療的ケア児のレスパイトケアは主に「通所サービス」「訪問看護・シッター」「ショートステイ」の3つがあります。
レスパイトケアは、身体障害者手帳や子ども医療受給者証などによる助成制度が活用できるため、利用したい場合は一度市町村やサービス事業所に相談してみましょう。
ここでは、各サービスの特徴についてご紹介します。

施設での一時預かり・デイサービス

一時預かりやデイサービスは、医療的処置が可能な看護スタッフが在籍する施設で一時的に医療的ケア児を預かってもらう制度です。
スタッフが常にそばにいて、一緒に遊びながら必要なケアも実施します。

訪問看護・シッター

訪問看護やシッター制度は、ご自宅に医療スタッフが伺って、医療的ケア児の看護を行う制度です。
訪問看護は医療保険の適応であり、各種助成制度を使用することで費用を抑えて利用することができます。
シッター制度も福祉制度を活用することで、費用負担が軽減されます。

ショートステイ・レスパイト入院

ショートステイは、宿泊も含めた一定期間ケア児を預けることができる施設です。
医療的ケア児が利用できるショートステイ施設はまだまだ少ないのが現状です。
レスパイト入院は、病院で一定期間児を預かる制度ですが、小児領域のレスパイト入院はまだまだ制度が整っていない現状があります。

SoiNurse(ソイナース)について

(株)メディブランカでは、医療保険による訪問看護や、自費における在宅ケアサービス、学校送迎の移動支援ほか、在宅レスパイト事業にも対応しており、医療的ケア児とそのご家族のサポートに尽力しています。
また、看護師サービス「SoiNurse(ソイナース)」を展開し、医療的ケアが必要なお子様を支える人材を発掘・育成しております。
SoiNurse(ソイナース)は全員が看護師免許を持ち、NICU・小児科・保育園などでの勤務、あるいは子育てを経験しています。
お子様の医療ケアはもちろん、医療的ケア児の介護の悩みや不安についても安心してご相談していただけます。

【参考】東京都における在宅レスパイト事業について(2022.6時点)

東京都におけるレスパイト事業では、年間96時間、1回2時間以上で最大4時間まで利用可能と規定されています。
利用回数や時間については自治体によってさまざまで、月4回までで年間24回と制限のある自治体もあるため、事前に確認しておく必要があります。
利用負担金は年間所得に応じて決定されますが、最も高い区分の場合、4時間利用で3,000円、2時間利用で1,500円の負担額となっています。
負担金も自治体によって差異のある要素の1つで、中には全額免除される自治体も存在します。
レスパイト利用にあたっては、各区の障害福祉課へ利用者様から申請が必要であり、基本的には現在訪問看護を利用している事業所にレスパイトも合わせて依頼を行います。
しかし、多くの事業者は主軸である訪問看護業務で忙しく、レスパイトの依頼に対応出来るリソースが不足している現状があり、レスパイト利用は断らざるを得ないことも…。
SoiNurse(ソイナース)では、レスパイト支援をすべての人が活用できる仕組みを作るべく、豊富な知識や経験を持つべく看護師の育成、拡充や、訪問看護とレスパイトの組み合わせることで長時間利用のご提案、ご希望の時間に利用できるシステムの構築を実施しています。

まとめ


医療的ケア児の在宅介護は、ご家族への負担が大きくなりやすいことから、負担軽減のためのレスパイトケアがとても重要です。
レスパイトケアを行うことで、家族もお子様も笑顔で過ごす時間が増えたら嬉しいですよね。
医療的ケア児の在宅介護でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

【参考サイト・文献】
在宅障害児・者の家族に対するレスパイトサービスの実践および評価|一般社団法人 日本家族看護学会
医療的ケアが必要な子どもの日中レスパイトケア|高橋 昭彦
医療的ケア児に関する施策について|厚生労働省
在宅の医療的ケア児とその家族の支援に向けた主な取組|厚生労働省
医療的ケア児者とその家族の生活実態調査報告書|厚生労働省
重症心身障害児等在宅レスパイトサービスのイメージ図

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